今回のテーマは、「素数ゼミ」です。
<別枠>
“話の一滴”の“ウラ” テツガクのヒトシズクのウラバナし
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<内容>
○“なげかけ”
○素数ゼミについて
○素数ゼミの“登場”に至るまで/
レフェージアの存在/「進化」について
○「大当たり年」
○素数ゼミに関する“逸話”
○今後の素数ゼミ
○“なげかけ”の「こたえ」
≪参考文献・資料≫
○テツガクのヒトシズク
(主にテーマの<内容>から
独自のテツガクを展開させてゆくコーナーです。)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
○“なげかけ”
---- 素数ゼミはなぜ、そういう名前なのか? ----
つづきは、後ほど・・・
○素数ゼミについて
素数ゼミとは、アメリカにしか住んでいない「不思議なセミ」で、例えば
日本などにいるセミは、幼虫の間6〜7年も地中でじっと木の根にとりつき
大人になる日を待っているのに対し、素数ゼミは、13年または17年も地
中で羽化する日を待ちつづけ、ある時 ある地域のせまいところに集中して
大発生し、いっせいに鳴き出すのだそうだ。
つまり、日本のセミは毎年出てくるが、このアメリカの素数ゼミは、13年
または17年に1度だけいっせいに現われる。
ただし アメリカ中のセミがいっぺんに出てくるわけではなく、地域ごと
に仲間の群れが何十種もあって、それぞれの地域で13年 あるいは17年
ごとに出てくるので、発生する年は地域によってずれているというわけであ
る。
2004年 夏では、新聞やインターネットで次々にこのセミのニュース
が流れた。
「ワシントンに17年ぶりにセミが大発生」
「シンシナティに50億匹のセミが現われる」
それまで13年間、あるいは17年間何もいなかったところである夏に突
然発生し、せいぜい半径数十メートルくらいの場所の中に数十万匹のセミが
出てきて「ジー、ジー」と大合唱をするので、そのうるささたるや大変なも
のである。
そして この「大集団」は、日本のセミと同じようにおすが数週間鳴きか
わし、交尾をしてめすが卵をあたりの木々に産みつけるとあっという間に死
んでいく。
卵がかえると、幼虫は地中にもぐり、翌年からはぱったりと出てこなくな
り、13年又は17年経つと それらの幼虫が羽化して、また大発生するこ
とのくりかえしになるわけである。
素数ゼミ
生息場所: アメリカ東部,南部のある地域
体長: 2〜3cm
羽化年数: 13 又は17年に1回のみ
特徴: 赤い目、細長いかたちと羽のたたみ方
(羽の色はオレンジがかっている。)
あるところに集団発生する
※正確には13又は17年周期で現われる素数ゼミを「周期ゼミ」
という。
その周期ゼミの群れのうちで、発生する年が同じものをまとめた
集団のことを「ブルード」という。
13年ゼミには3種類のブルードがいて、17年ゼミには12種
類のブルードがいる。
つまり、13年間のうち、3年はアメリカ東部南部のどこかし
らに13年素数ゼミが現われ、17年間のうち、12年はどこか
で17年素数ゼミが現われているということになる。
○素数ゼミの“登場”に至るまで/レフェージアの存在/「進化」について
素数ゼミの“登場”に至るまで
氷河時代の間に寒い北部では最大10年、あたたかい南部では最小12年
といったさまざまな長さの周期をもつ周期ゼミの群れができあがった。
その中では、たとえば1つのレフェージアに北斜面には周期の長い群山、南
斜面には短い群れがいるようなこともあっただろう。
このまま無事にいけば、さまざまな周期のセミが現代にも見られたはずだ
が、ところが そうはならなかった。
寒さのため 幼虫の成長に必要な温度の高い日がどんどん減っていき、養分
をぜんぜんとれない日が増加して、セミたちの成長スピードがどんどん遅く
なって行った。
周期ゼミ達にこのような厄介ごとがふりかかり、それを生きのびたセミが
現代まで子孫を残したのだ。
やがて氷河時代が終わりを迎え、アメリカ北部に17年ゼミ、南部では
13年ゼミが定着した。
環境が良くなり、成虫の数がどんどん増え、発生年だけ集中してたくさんの
成虫が出るので、鳥などの捕食者が狙ってきてもとても食べきれず、大合唱
に閉口して去っていった。
このように素数ゼミの場合、一度に大量に出て来て、捕食者に多少食べら
れても ものともしない圧倒的な数が生きのびる武器となり、「みんなと一緒
に出てくる」というルールはますます 素数ゼミにとって大切な性質となった。
レフェージアの存在
レフェージア(避難所)は、生き物たちにとってはまさに不幸中の幸いとい
える場所で、氷河時代以前に近い林が残った所で、祖先ゼミたちがかろうじ
て生き残っていた。
レフェージアにはセミ以外にもさまざまな動植物が生き残った。
セミたちの性質そのものも、あたたかさにより充分な大きさになって羽化
することをやめ、温度に関係なく、長さだけで羽化を決める性質に変化し、
羽化するスイッチが温度から時間になった。
これにより 祖先ゼミたちはあるときから いっせいに出てくるという性質
を身につけ、長年かけて成長するという性質に後もどりできなくなった。
さらに このころもうひとつ、今の周期ゼミにつながる重要な性質、つまり
生まれた場所へずっと残って、あまり移動しないという性質もできあがった。
こうして残った子孫は、宣伝性と集合性を同時に身につけ、いっぺんに同
じ場所で大発生していくこととなった。
進化について
素数ゼミの不思議な習性は、「たくさんの子孫を残す」というキーワード
にのっとったものと考えられるのが、「進化」という考え方である。
つまりそのときどきに生き物が暮らす環境により合った性質をもてば、少
しでも多くの子どもが残っていき、その性質を受けついだ子どもが増えて子
孫が残るというのが、生き物の歴史、すなわち進化である。
○「大当たり年」
2004年夏のある日 アメリカで変ったセミが出てくるらしいという記事が
日本の新聞のかたすみにのった。
しばらくすると 新聞やインターネットに次々にセミのニュースが流れ出
した。
・ワシントンに17年ぶりにセミ大発生!
・シンシナティに50億匹のセミが現われる!
・ヤンキース松井選手に思わぬ敵、遠征先の球場のまわりにセミ大発生!
しかも このセミたちの発生場所は1平方キロメートルにもならない狭い
ところに集中して現われたのだ。
つまり 100メートル四方(1万cu)に40万匹、
平均して1平方メートル(1辺が1mの四角形の中に)40匹。
あなたの部屋が10平方メートルくらいだとしたら、部屋の中に400匹
のセミが鳴いていることになり、想像するととんでもないことになるのでは
ないか。
○素数ゼミに関する“逸話”
例1: アメリカのある科学者は、大群を調べようと数10分その中で
仕事をしたら、数時間も耳が聞こえなくなってしまった。
例2: 日本の科学者が、1998年の大発生のとき、セミの発生して
いるミズリー州にある大学に電話をしたら、電話に出た女性に
「こちらはセミがやかましくって何も聞こえない」とどなられ
た。
例3: 素数ゼミはほとんど遠くに飛ばず、一度地上に出てくるとその
あたりにずっといる。
しかも 仲間たちの群れの中へ中へと移動するクセがあるので
必ず 決まった場所に集まってしまい、おまけに大合唱を聞い
ためすたちもどんどん集まってきてぎゅうぎゅうの大集会に
なってしまう。
例4: 大集会所近辺では、セミたちみんなが樹液を吸うので、あたり
の木が枯れてしまうほどである。
ある研究員が 不運にもセミの出てくるまっただなかに家を建
ててしまい、庭に植えた若木の並木がみな枯れてしまった。
例5: 中にはここぞとばかりに盛り上る人達もいて、ワシントンの
ある有名ホテルは「セミ・カクテル」というお酒を作ったそ
うだ(さすがにセミは入っていなかったようだ)。
例6: セミは低脂肪・高タンパクの健康食だともいわれているらし
く、レストランでは、羽化したてのやわらかいセミをフライ
にした「セミ料理」を期間限定で出したそうだ。
○今後の素数ゼミ
素数ゼミたちは、林の緑の木々に卵を産むのを好み、そしてその子どもた
ちも、ほぼ 同じ場所で羽化してふたたび卵を産んでいくので、13年後、
17年後になっても、ほとんど移動がありません。
ところが地球の環境はどんどん変っています。
地球温暖化といって、人間がいろいろな産業活動などで二酸化炭素(CO2)
を出しすぎたために、地球から反射される熱が雲に閉じ込められて気温が世
界的に上っています。
しかも 急激で大きな変化が起っています。
さらに、開発によって木が刈りとられ、林がどんどんなくなったり、他の
ものに変っています。
ほとんど移動しない素数ゼミの幼虫が羽化したところに まったく林がなく
なっていたらどうなるでしょう。
素数ゼミたちは、きびしい氷河時代をも乗り越えてきましたが、何十万年
もかかった氷河時代に比べ、現在の変化はあまりにも急激で、はたして乗り
切れるか、それとも力つきてしまうでしょうか - - - - - - - - - - -?
○“なげかけ”の「こたえ」
---- 素数ゼミはなぜ、そういう名前なのか? ----
前述の通り氷河時代の間に周期ゼミ達に「厄介ごと」がふりかかり、それ
を生きのびたセミが現代まで子孫を残した。
そのカギとなったのが 13と17という年数だった。
しかもその数字は、1と自分自身とでしか割ることのできない、
いわゆる素数なのだ。
素数には、不思議な力があり、その力が13年周期と17年周期のセミだ
けを生きのびさせた一方、素数でない数を周期にもつセミたちは絶滅してい
った。
素数のもっている不思議な力とは 素数の最小公倍数が、素数でない数にくら
べて大きくなるということである。
つまり素数は 最小公倍数が大きく、これは、なかなか他の周期のセミと出会
わず、周期が近いけれども、少し違った仲間と交尾して子どもを残すという
「交雑(※補足)」の回数が少ない --------------------------
すなわち絶滅の危険性が少ない、これこそが13と17の最大の秘密で、
これから「素数ゼミ」と名付けられた。
もちろん 素数ゼミたちが「こうしよう」と決意してこのような不思議な数
字を選んだわけではなく、ただ 環境の変化がセミたちの暮らしを変えていっ
た結果、自然にこの数字の魔法が登場し、人間が素数の不思議に気がつくよ
りはるか昔から、セミたちの中には「現われていた」ことになる。
(ちなみに素数ゼミの英語名は magic cicada という。
magic は「魔法」、cicada は「セミ」なので、「魔法のセミ」
ということになる。)
※補足:「交雑(こうざつ)」
近縁だけれども、少し違った仲間どうしで交尾して子どもを
残すことをいう。
これはふつう悪いことばかりでなく、いわゆる「品種改良」
のように近代では、人間にとって便利な性質が残るようにわ
ざと、動物・植物を交雑させるのはよく行なわれてきたこと
である。
≪参考文献・資料≫
素数ゼミの謎 吉村 仁 著 文芸春秋 2005.7
氷河期における 吉村 仁 著 アメリカン 1996
周期ゼミの ナチュラリスト149
進化的起源
○テツガクのヒトシズク
素数ゼミを今日まで生き残らせた---------------------
その 羽化まで地中にいる年数が、
13・17年という。
私は 数学が得意ではないので
よくわからないのだが、その名のとおり
それらの数字は、「素数」なのだという。
そして その13・17は、まさに
「不思議」な、数字 ----------------------
どうして、13・17年が素数ゼミにとって
は、必要だったのだろう?
たしかに、そんなに年数がかかるというか、
そんなに長い間もぐっているのは、氷河期
のなごり ということも、あるんだろうが ・・・
きっと せみにとっては、地中にいる時間が
地上のより長いのは、その明るい、地上での
“輝ける”生命の時間を悔いのないように
精いっぱい 生きる為に、力をたくわえて
いるからなのかも、知れないな ・・・
あと せみが夏でてくるというのも、夏でてくるから、
熱(あつ)くて体力を消耗する時期で、
そういうことも、あるかも知れないな・・・
地中での生活が長いのは。
そして 素数ゼミの地中にいるのが“さらに”長いのは、
やはり ・・・
「素数ゼミ」という存在自体が、小さくて、
そういう時間がより必要だから
なのかも知れない。
「そして」、人とかの誕生の日とかが、運命に
大きくかかわっているように、素数ゼミにも、
13と17という数字が、何か 素数ゼミの
存在自体に、「力(パワー)」をあたえて
いるのかも ・・・
そして、人間社会にだってそれはいえて、
何げない数字、たとえばその日並んだ列が
何番目であったとか、そこでとった
チケットの番号とか、そういうものだってきっと、
何か「運命づけられて」いて、その人に、
きっと、影響を、与え続けるものなのだろう
・・・
そういえば宝くじだって、その数字のハイレツイカンで、
その人の一生に大きな影響を、与えるものだから ・・・
そうおもうと、何げない、まぁ 素数ゼミの
13・17は何げないのかどうか、よくわからない
けれど、
数字の力というのは、あなどれないのかもな ・・・
そして たしか、アメリカでは「13」は、
13日の金曜日とかっていわれるように、
不吉な数字なのだろうか ・・・
だとしたら、一方では「不吉」ではあるけれど、
アメリカに生息する「素数ゼミ」には、
今日まで生き残る「力」を与えている。
そのことからしても、たとえ「不吉」といわれてても、
もしかしたら、不吉では、ないのかも、知れない ----------------
場合によっては。
その存在の、「とらえ方」いかんだったり、
するのかな。 ・・・
案外。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
“話の一滴”の“ウラ” テツガクのヒトシズクのウラバナし
(C) 2007 YO-chang Kenkyu-syo.
