●人体進化のなぞ その1「ヒトはなぜ毛皮を捨てたか」
ヒトに近縁の類人猿は毛皮を持っているが、ヒトはうすいしほとんど毛皮
をもっていない。同じ哺乳類でもゾウやサイなどの大型の多くは毛皮を持っ
ていない。これは 大きくなるほど重量あたりの体表面積が小さくなり、熱
を放出しにくくなるためと考えられている。
またクジラやマナティーなど、水中にすむ哺乳類の多くも毛皮がない。こ
れは水中では、毛皮も保温効果を失なってしまうので、水生の哺乳類の多く
は毛皮がなくなってしまったと考えられている。
しかし 大型でも水生でもないのに、ヒトはなぜ毛皮をなくしたのか?
今もってなぞである。
毛は化石で証拠が残りにくいので、ヒトがいつ毛皮を消失したかも良く分
っていないようだ。
このなぞをめぐって 種々な説が提唱されている。2つだけあげておく。
仮説第一:ヒトの祖先は水生で、毛皮は不要だった。しかも いつも頭だけ
は水面に出ていたので、直射日光から守るために頭髪だけは残っ
た。
仮説第二:類人猿は炎天下では長距離歩けなかった。しかしヒトの祖先は足
が長くなり、効率良く長距離歩行ができるようになったので、毛
をなくすことで、汗を蒸発させて体温を下げやすいように進化し
たためと考えられる。
●その2「ヒトはなぜ直立二足歩行が可能なのか」
ヒトがサルの仲間から決別させた進化史の一大事件、それは直立二足歩行
の開始だった。「ヒトは直立二足歩行する霊長類」と定義できて、直立二足
歩行がまず先におき、それから犬歯の退化や脳の発達がおきたと考えられる。
では何のためヒトの祖先は直立二足歩行をはじめたのだろうか。
これは非常に大きななぞで、諸説が多く存在する。
例えば、1つの説として遠方から果物などを運んで メスにプレゼントする
ためという説があるが、いずれにせよ、つねに何かを手にもつために直立二
足歩行が発達したと考えるのが妥当ではないかと考えられる。
直立二足歩行を行うヒトと 他の霊長類とでは、骨格にさまざまなちがい
が存在する。
まず 背骨の変化が重要で、ヒトではS字型に湾曲している。その他にも 骨
盤(腰部の骨)の縦の長さが短かくなって幅が広がり、奥行きが深くなってい
る。この形状により、重い内臓を下からお椀のように支えることができるよ
うになった。
さらにひざ関節のロック機構,大腿骨が内側に傾いているなどは直立二足
歩行に適応した合理的な構造になっていることが分る。